大空を飛ぶ風船

最近、荻原浩さんの本をよく読んでいます。

先日、『家族写真 』(講談社文庫)という家族をテーマにした7つの短編集を読みました。

私はよくお風呂に入りながら読書を楽しむんですが、第一話の「結婚しようよ」というお話で、まさかの号泣。

40過ぎた人間が嗚咽しながら入浴している姿は、ちょっとシュールな感じだったと思います・・・。

 

「結婚しようよ」は妻に先立たれた主人公が、娘の結婚相手の男性に会うお話です。

別に大きな事件や問題が起こるわけではないのですがコレが泣ける。子を持つ親としては感情移入せずにいられないお話だと思います。

とくに先立たれた妻の仏壇の前で、主人公の父親が1人で娘の成長を回想する場面は涙腺崩壊。決壊レベル120。

 

準子が結婚するよ。あの子がだよ。笑っちゃうよな。

だって、初めて風呂に入れた時、俺が割れ物を扱うようにおそるおそる湯船に浸したら、おっさんみたいなため息を吐いて、ついでにおならをしてお湯にあわぶくを立てた、あのちっちゃな赤ん坊がだぞ。

運動会で、二等賞の旗を両手で振りまわして、歯が生え揃ってない口をくし切りの形にして笑ってた幼稚園児がだよ。

遠足にもっていく多すぎるお菓子をリュックの前に並べて腕組をして、この様の終わりみたいな顔で、ポッキーとコアラのマーチを脇にどけていた、あの小学生がだぜ。

入学式の日に玄関を出たとたんころんで、膝にバンドエイドを貼って、セーラー服についた泥を泣きべそをかきながら落としていたあの中学生がだぞ。

お前の葬式の時、納棺する直前に姿が消えてしまって、さんざん探して見つからなくて、ようやくお前の寝ているふとんにもぐりこんでいたのを発見した、あの子が、だ。

「結婚しようよ」P30より

 

私の娘は小学1年生。将来結婚するかどうかは分かりませんが、するとしたら当分先の話。

でも本の中で主人公の回想は、私の中では小さな自分の娘と完全に重なってしまいました。

 

初めてお風呂に入れた日のコト。

ベビーマッサージをキャッキャッと笑って喜んでいたコト。

運動会でのプリプリダンス。

生えそろってないスカスカの歯。

遠足のおやつを真剣に選ぶ表情。

 

娘がまだ経験してない中学生になった姿や、私がこの世からいなくなる日の姿が目に浮かんできてもう涙がとまらない。

嗚咽しながらお風呂場から出て来た私を見て夫が驚愕していました。(笑)

 

自分が親になってから、子どもが出てくる話を読んだり聞いたりすると感情移入してすぐに泣いてしまいます。

なんだか自分が単純で、作り手の思うツボにハマって情けない気もするのですが、同時にそんな気持ちになれるコトを嬉しく思ったりします。

こんなに心を揺さぶる、大きな感動を与えてくれる存在がいるコトが素直に嬉しい。

 

私はかなりマイペースな人間なので、子供たちに振り回される毎日にウンザリしたり、「早く大きくならないかなぁ」と思う時があります。

でも、いつか子供たちと離れる時が必ず来る。

「家を出る」と言うコトで考えるなら大学に入るときかも知れないし、就職してからかも知れないし、結婚する時かも知れない。

高校卒業までだとすれば、あとたったの10年ちょっと。

 

当たり前だけど、私達は未来永劫一緒にいれるわけじゃない。

 

そう考えると「今一緒に過ごす時間が大切でかけがえのないモノなんだなぁ」とシミジミ感じ、いずれやって来る別れを想像して泣けて泣けて仕方がありませんでした。

息子は隣の家が引っ越しをしたら「買い取って隣に住む」と言ってるし、娘は「大人になってもず~っとかぁかと一緒に住む!買い物行ったり、お泊り行ったりしような!」と言ってくれています。

そんなん彼女、彼氏ができたらスッカリ忘れるんでしょうけど。(笑)

やがていつか別れの日がやって来たとしても、いつまでもずっとずっと私の大切な子供たち。

萩原さんの本を読んで、一緒に過ごせる「今」を大切にしていきたいと改めて思ったのでした。

 

ゆうゆうでした。

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